雪についてみると、都区内では一二月二六日が平年の初雪日で、三月二〇日が終雪日とされている。降雪と積雪は共に二月が最高月で、昭和六(一九三一)年から昭和三五(一九六〇)年までの三〇年間で、二月に一〇センチ未満の雪積日が二七日、一〇センチ以上が一二日、二〇センチ以上が四日となっており、過去の積雪最大値は、明治一六(一八八三)年二月八日の四六センチで、次いで昭和二〇年二月二二日の三八センチである。明治四一(一九〇八)年四月九日の二〇センチの積雪が例外としてあげられる。この積雪は冬季の季節風によってもたらされたものではなく、太平洋低気圧が二月から春にかけて本土に接近した進路を、東進または東北東進するので、東京が雪の最盛期になるのである。東京都では海岸から武蔵野台地を西に移るにつれ、距離に関係づけられながら積雪の変化がみられる。すなわち海岸地帯で雨の時には、少しく内陸部に入るとみぞれになり、更に西方の内陸側に至ると雪になる。その雨から雪への漸移的境界は、大体荻窪から吉祥寺辺とみることができる。昭和二八(一九五三)年二月二二日の例でみると、海岸から一キロ以内の地域では積雪一二センチであり、四~五キロの範囲内では二〇センチ、約一五キロまでの地点では二四~二八センチの積雪をみていたのである。したがって昭島市の附近は武蔵野台地の中では積雪の多い地帯に属すると言ってよいであろう。