二 旧石器時代の自然

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 旧石器時代人の存在が日本列島に確かめられると、当時の列島の自然に対する関心が高まり、とりわけ関東ローム層の研究は急速に進んだ。
 人類の誕生は第四紀とよばれる地質年代に入ってからであるが、第四紀は洪積世と沖積世に分れ、沖積世は繩文時代から現代までの地層で、東京の洪積世は大きく関東ローム層と三浦層群に分かれる。関東ローム層は古い方から多摩ローム、下末吉ローム、武蔵野ローム、立川ロームの四層からなり、立川ロームと武蔵野ロームの下にはそれぞれ礫層がある。そして、関東ローム層の堆積した年代は一万年以前で、最も新しい立川ロームで一万年~三万年前、古い多摩ロームは一〇数万年以前といわれている。
 石器は主として立川ロームから出土するが、武蔵野ロームや下末吉ロームからも発見され、日本列島には一〇万年より以前から人類が活躍していたと推定される。
 この頃は大陸と陸つづきで、とくに北海道は洪積世の最後までシベリア・カラフトとつながり、マンモス象が往来していた。日本列島各地で発見されるナウマン象は洪積世中期(多摩ロームや屏風が浦層形成の頃)から生息しはじめ、縄文時代初期の海水面大上昇によって完全な列島分離の行なわれるまで認められた。この他牛、オオツノジカ、トラ、ヒョウなど今では絶滅してみられないものや、イノシシ、ニホンシカ、カモシカ、ノウサギ、タヌキ、キツネ、ネズミ各種などが生息していた。関東ロームは火山灰の堆積層といわれるように、第四紀は火山活動が活発で、また地殻変動も激しく、現在の山地や盆地の概略はこの時期にできたといわれ、関東平野では第四紀に千メートルをこえる沈降があったとさえ考えられている。