旧石器とは打製石器のことで、石器の原材料に、直接または関接に打撃や押圧を加えて作られたものである。敲打器とも呼ばれた前期旧石器は河原石などの礫に打撃を加えたもので、最も原初的な石器製作法である。後期旧石器になると、高度な石器製作技法があらわれ、ナイフ形石器、石刃、切出形石器、彫刻刀形石器などが作られた。これらの石器を作る技法のなかでも石刃技法とよばれる石器製作法は、人類の文化創造の原動力になったともいわれ、狩猟に画期的な発展をもたらした。
石器を作るにはまず黒曜石などの堅い石を入手し、膝の上に置いて右手にもった金槌役の河原石で直接に打撃を加え、石器を作るのに都合のよい形の石刃核に仕上げる。次に、角などで作ったタガネで石刃核の一端を押え、河原石で軽くタガネをたたく。石刃核の一端は剥離して石刃などの石器が出来上がるわけである。この石核技法は北海道・東北・関東の東日本に分布し、シベリア地方にも分布しているという。この技法は石刃の縦剥ぎで、これに対し横剥ぎの技法によった石刃も認められており、瀬戸内地方を中心とした西日本に分布し、日本列島独自の石器製作技法といわれる。