林ノ上遺跡の住居址
集落址は一般に土器散布地とか埋蔵文化財包蔵地と呼ばれ、土器・石器の他に骨角や植物の実が発見される。それは舌状にのびた台地や段丘の先端に位置し、竪穴式住居は舌状台地の縁辺に営まれ、中央を広場とした円形集落となることが多い。早期の集落は明らかにされていないが、初期の住居は小規模な円形竪穴で、内部で火をたいた形跡はなく、前期になって炉址が現われる。この頃から円形または馬蹄の集落が形成される。
貝塚は集落の人々のごみ捨場である。食料から生じるごみを主として、生活用具や容器の破損品を捨てた。植物性のごみは消滅し、貝殻・骨角・土製品・石製品はよく残り、繩文時代の生活を復元する貴重な資料となっている。
繩文人は崖に向ってごみを捨てるか、廃棄した竪穴式住居に捨てた。前者の場合は崖に斜面貝塚を、後者では集落の形に、すなわち最終的には円形または馬蹄形の貝塚を台地上に形成した。下の方に堆積した貝層は古く、表土に向うに従って新しくなるので、土器文様などの変化を正しく把えることができ、貝塚の調査は繩文文化の研究の基本となってきた。
土器・石器をはじめ繩文時代の遺物は集落址と貝塚から出土する。