四 〓麻説

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 言語学者の松岡静雄氏の説で、「ムサシ」の「ム」は実、「サ」は麻で、「シ」は「チ」に通じ、「チ」は道のことでこの場合は地域をさし、したがって「ムサシ」は〓麻(しま)の産地の意味だとする。「ムサ」は現代日本語では「ムシ」となり、「ム」は「衣衾」で、「カラムシ」といえば苧麻(まお)のことである。アイヌ語の「ムセ」・「モサ」は蕁麻(じんま)のことで「ムシ」と同源であり、また朝鮮語で苧布のことを「モシ」というのも同源である。したがって、「フサ」すなわち圃麻(ふま)を産する地域が「総国(ふさのくに)」と称されたように、「ムサ」を産する地方が「ムサチ」と呼ばれ、のちに「ムサシ」に転訛したとする説である。