七 〓刺説

372 ~ 373 / 1551ページ
 「ムサシ」は「ムナサシ」のつづまったものとする説。「ムナ」は「ムレ」の転訛で、「ムレ」とは「古沙山(コサノムレ)」・「辟支山(ヘキノムレ)」のごとく山を意味する古朝鮮語、「サシ」は城である。「ムナサシ」すなわち「ムレサシ」は、「帯山城(シトロムレサシ)」のような「山城」の意味である。大和政権の東方進出にさいし、多摩丘陵を越えて武蔵領内に入り、その政治の中心である多摩川流域に達して望見すると、多摩川をへだてた北岸には武蔵野台地が連綿と連らなり、それはまさに自然の一大山城ともいうべき地形であったため、こう称されたとする説である。
 ともかく、以上のような名前の由来をもって武蔵国が設置された。