二 林遺跡

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 昭島市域の平安時代遺跡では最も西方に位置するとともに、最も内陸部でもある。立川段丘崖下に当り、その湧水による流れを中心に集落は営まれたものと思われる。繩文式土器や石器の散布は土師器・須恵器より顕著で、平安時代集落は小規模であったかも知れない。この遺跡から須恵器の完形大甕が秋山信雄氏の耕作によって発見されている。これによって、林遺跡の平安時代集落は九世紀後半から一〇世紀前半の時期に形成されたものと思われる。

林遺跡出土の須恵器大甕(昭島市役所保管)

 林の集落は水田を全く所有せず、専ら畑地の耕作に従っていたと想像される。それは極めて短い期間であったかも知れない。そして、繩文時代早期以後居住地として不適であった地域へ、再び開発の手をのばした最初の集落といえよう。この集落は第二地域あるいは第三地域の集落の分村であったかも知れない。集落間を結んだ道からはずれた地域であることが、それを意味しているとも理解される。