G 納経者の居住分布

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 ここで大般若経の納経者居住村を、地図上で追ってみよう。まず拝島を中心にした分布圏の限界線はつぎのとおりである。
 北は中山・下直竹(高麗郡。今、飯能市)・扇町屋(入間郡。今、入間市)から勝楽寺(入間郡。今、所沢市)・久米川(多摩郡。今、東村山市)にかけての線までである。東は、久米川から、鈴木(小金井市)・恋が窪(国分寺市)・四谷(府中市)まで、南は、四谷から程久保(日野市)・鑓水(八王子市)・小比企(同)にかけてである。西はほぼ関東山地渓谷入口で限られており、戸吹(同)・小中野(五日市)・大久野(同)・青梅までである。これを略図に示してみると、第2図のとおりである。

第2図 拝島本覚院『大般若経』納経者主要分布

 このような平均してほぼ三里四方の地域を拝島大図師信仰圏の一応の目安として考えてみよう。この地域の村々が、拝島大師と信仰的なつながりをもっていたことを示す史料が、ほかにもある。第四章第二節一項で紹介した奉額句合である。