第5表は、西野兼次郎の『道中記』の概要を見やすくしたものである。さまざまなレベルの、さまざまな宗派の寺社が参詣見物の対象になっているようす、歴史的な遺跡、名物の喰い物、遠めがね、芝居見物などのほかに、京都でのおそらく歓楽街でつかったと思われる小遣銭のようすなど、信仰・物見遊山・娯楽など多様な要素をもっていたことがよみとれよう。実に旺盛な精神によるエネルギッシュな旅行ぶりである。刻明で素っ気ないほど合理的で実用一点張りの記録ぶりである(白川宗昭氏の解読文による。)。
第5表 中神村 西野(越沼)兼二郎「天保四年 伊勢参宮道中記」概要