四 社会変革を求める人々

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 幕末・維新の社会的激動は、人々に現状での安住を許さなかった。人々は、現状の改革と新たな社会の出現を願がわざるを得なかった。だがこの新たな社会の求め方は、一様ではなく、階層による差異がみられる。貧しい人々の間で求められた社会は「世直し」という言葉に集約され、その具体的行動が武州世直し一揆であった。村落上層に位置する人々にとっての新しい社会像はいろいろであるが、昭島市域の村々に発生した最も興味深い現象は、私年号「長徳」を使用したことがあげられる。本項では、この二つの現象を考えながら、幕藩制社会の終末にあって、新たな社会を求めざるを得なかった、昭島市域に住んでいた当時の人々の意識を見ていきたいと思う。