一 町村合併促進法の施行

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 戦後の混乱期を切りぬけ、新しい発展に向った昭島の人口は、昭和二八(一九五三)年には昭和町・拝島村を合せて三万四〇〇〇人を越えた。そうした人口の増大は当然、教育・衛生・福祉などの公共施設の拡充を必要とし、地方自治体の行政水準は年とともに高くなってきた。交通が発達し、行政水準が高まってくると、旧町村の範囲内では効率の良い行政処理はなかなかできにくくなった。
 昭和二八(一九五三)年九月、政府は「町村合併促進法案」を公布し、町村規模の適正化によって地方自治体の基盤の強化と、地方行政の合理化をはかろうとした。
 これにもとづき東京都市町村会は同年一二月「町村合併基本方針」を定めた。それは町村の標準人口八〇〇〇人以上とされる町村の合併に際し、つぎの点を考慮すべきであると述べている。
  1、関係町村間に、地勢、交通、通信、産業等の相互関係が深く、自然的及び経済的基盤の一体性が認められること
  2、関係町村間において各町村の住民の人情、風俗、習慣等が類似し、又は特に著るしい相違がなく、将来一つの共同社会として自治意識を醸生することができるものであること
  3、地方の綜合開発計画、都市計画等を充分に勘考し、その方針に照応して、町村の合併計画を定めること
  4、全部事務組合又は役場事務組合を組織している町村間にあっては、その組織町村の合併を図ること
  5、小中学校、病院、漁港、警察、国民保険、水道その他の公営企業等について一部事務組合を組織している町村間にあっては、特別の事情のない限りその組織町村のすべての合併を図ること
  6、地方自治法に定むる協議会を設置し或は機関の共同設置を行っている町村間にあっては、できる限り関係町村の合併を図ること
  7、児童の義務教育その他の事務の委託関係にある町村にあっては、特別の事情のない限りその合併又は境界変更を図ること
  8、水道、バス事業、病院、墓地、火葬場等の所謂営造物の区域外設置の関係にある町村間にあっては、特別の事情のない限りその合併を図ること
  9、町村の行財政に重大な影響を及ぼす変電所、工場等の施設が数町村の区域にわたっている場合は、これらの関係町村の合併を図ること
  10、町村の区域について所謂飛地又はこれに準ずるような地域があるときは、関係町村の合併又は境界変更によりその解消を図ること
                                     (「町村合併関係資料」市役所文書)