前節では講中や組合など、地縁的な関係によって結合され、組織されて、村落生活のさまざまな面において互助協同的な役割を果してきた諸種の社会的集団をとりあげた。各村落の社会生活は、これらの地縁的社会集団を、言わば外枠として、さらに各々のイエ(家)を構成する夫婦・親子・兄弟などから成る家族集団や、本家・分家関係で結びついた同族集団といった、血縁的紐帯により結合された社会集団を中核として営まれてきたのであった。
本節では、各家々にとって、さきに挙げた地縁的な社会集団よりもさらに日常生活において密接なかかわり合いをもち、伝統的な形でその関係が維持され、現実に機能しているそうした血縁的紐帯に基づいて組織されている家族・親族集団について言及してゆくことにしたい。