一 家族及び親族呼称

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 家族や親族集団におけるさまざまな結びつきや機能を眺めてゆくまえに、まずそれらの成員の呼称について述べておこう。
 市域の旧村地域においては、一般的に自分の父親を「オトッツアン」・「オトウ」・「トーチャン」・「チャン」と、また母親を「オッカサン」・「オッカー」・「カーチャン」と呼びあらわしている。そして祖父のことは、「オジイ」・「ジーサマ」、祖母のことは、「オバア」・「バーサマ」と呼ぶ。兄は「セナ」・「アンニ」と呼び、弟は「シャテー」、姉は「アンネー」・「アンネ」・「アネッコ」、妹は「アマッコ」などとそれぞれ呼称している。兄弟については家督相続などの問題から、とくに長男を「ソウリョウ」とか「アトトリ」と称し、末子は「シマイッコ」とか「バッシ」と称している。叔父や叔母、そしてイトコは通常父方も母方も区別せず、その該当者の居住する村名や字名を冠して、「何処のオジサン」とか「何処のオバサン」といった形で呼びあらわす。
 家と家との関係では、市域の旧村落地域全域に共通して、本家のことを「オオヤ」と称し、分家を「シンヤ」と呼んでいる。また父系的系譜関係で結ばれている、同姓の数戸の家々からなる同族集団は、「ジルイ」とか「ジシンルイ」と称されている。