二 トビアミ(ハネアミ)

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 前述のモジの場合に使用されたオカザリと同じように、ウラジロの木の枝(中神)或いは笹の葉(拝島)などを幾条も結びつけた威嚇用の一本の綱を、両岸に立った二名の勢子役の者が、綱の端をそれぞれに足に縛りつけ、川をその綱が横切る形に張って、下流から上流へとゆっくり歩く。鮎はその威嚇用の綱に驚き、その綱を飛び越えようと水面上に跳ね上がる。それを綱の後方の川中にいる他の一名の者が、手にしている六尺余の長さの楕円形をした大きな叉手網で掬い取る。この漁法を「トビアミ」(中神)とか「ハネアミ」(拝島)と称す。