冠婚葬祭の祝儀不祝儀には普段着や仕事着などと異り礼服を着用した。男性は黒の紋付きの着物に羽織と袴が正装で、三ツ紋や五ツ紋の格調高い衣裳を着用し、不祝儀には編笠をかぶり白足袋に草履をはいた。女性は嫁に来る時に持参するのが普通で、白の無垢の着物を着用し、夏には絽の着物をも用意している家もあった。葬礼などの不祝儀には二尺程のさらしを頭に巻いてかぶりものとしていた。また、留袖、ふり袖も晴れ着として着用していた。
礼服以外のはれ着は氏神様の祭礼、お盆、正月などの人寄せや、八王子のお十夜、隣り村の祭礼、親戚の家へ遊びに行く時に着用したが、はれ着といっても余り普段着と差異がなく、上等な生地の良い着物をはれ着とか「ヨソユキ」などと呼んでいた。はれ着のわりには色や柄も地味なものであった。
大正末期の子供のはれ着姿