六 履物

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 日常生活には下駄を履いていた。男女ともにコマゲタであったが、桐の下駄はヨソユキでめったに履くことがなく、平素はセンという堅い木や杉の木の下駄を履いていた。雨の日にはアシダ、高下駄を履いていたが、前にツマカワを着けて用いた。コマゲタ八銭、高下駄十二銭という時代もあった。他に中高やいちょう歯などと呼ばれる下駄もあったが、下駄の歯に雪がからまってよく転んだそうである。高価な履物には床つきの下駄などがあり、多くは下駄屋が売りに来た。
 草履はわら、麻皮、竹の皮のものが使用されていた。わら草履は夜なべ仕事で各家で編まれ、体のために良いと言われていて子供達が履いていた。また、竹の皮を乾して作る竹の子草履は濡れても乾くのが早いので便利であった。中神の古老は「郷地あたりには竹籔がずい分あったが、子供の頃〝ま竹の皮を拾っておいておくれ、竹の皮の草履をもってくるから〟というおばさんがいて、ま竹の皮の長いのを拾って束ねておくとおばさんが草履を籠の中から出してくれた。そのま竹の皮を使った草履を売っている所があった。」と語っていた。
 その他、表はタタミの床で底に自転車のタイヤを張った薄い草履があり、ヨソユキの履物としていた。