四 つけもの

80 ~ 81 / 241ページ
 食欲をうながすつけものは三度三度の食事に欠かすことがなかった。タクワン漬、ヌカミソ漬、塩漬け、梅干漬などがあり、食膳のオシンコウはタクワンが主であった。庭が真白になるほど大根を沢山干して、ヌカと塩を混合した樽の中へ干した大根を漬け込むのだが、四斗樽に塩一升程度が甘いタクワンで、真夏にかかる時季だと四升程度の塩を使っていた。普通は塩二升程度で樽の上に石を重しとしてのせておくと約一ケ月で漬け上った。各家では大きな樽に三樽ほど漬けていた。

大根干し

 白菜はなかったので菜ッ葉はカシン、山東菜、京菜を塩漬けにした。また、時季の野菜も漬けられ、夏にはキュウリやナスをヌカミソに漬けたり塩漬けにした。夏場の農作物の不作に備えて、二、三年の古漬けを食べられるように用意もしていた。