味噌、醤油はかつては各農家の自家製であったが、現在では味噌を醸造する家が少々ある程度で、醤油は殆んど買い求めている。味噌は麦を搗いて蒸したのを桶に入れ、麹を混ぜて醗酵させ、砕いた大豆に塩と麹を入れたのを混ぜて一年間ねかせて醸造していた。麦は手間賃を払って搗きに出し、麹屋で麹を買っていた。自家製は豆を沢山使っているので美味しく、豆を摺り鉢で摺ったり、みそこしでこしていた。かつては醤油をつくっている家もあったが、しぼる仕事が大変であったようである。
砂糖も買い求めて使用していた。モノビの料理などに使う程度で貴重な調味料であった。多くは黒砂糖や玉砂糖で白砂糖はお仕え物にするのが普通で普段は使わなかった。
油は菜種やゴマを栽培しているので自家製の油はあったが充分ではなかった。油は高いので必要な時に一合か二合買う程度で、モノビは別として野菜の天ぷらなどは日常生活の食膳にはのることがなかった。
ダシには鰹節を使っていたが、お祝いのお返しには必ず鰹節ときまっていたから充分まかなえていた。昆布を行商人から買ってダシに使用することもあった。