D 粥

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 年中生活行事の風習として粥がつくられる。一月七日は古来から七草粥をつくって無病息災を願った。せり、なづな、大根、はこべなどを粥に入れるのだが、時季的に早く、摘みに行っても七草はあつめられなかった。家によっては七草粥に餅や団子を入れるところもあった。一月一五日には小豆を入れた小豆粥をつくる。市内では一一月に「ドジョー粥(ガイ)」をつくる風習がある。麦まき後の農耕行事であるが、「ダイシ粥」といって四の数の日に家中でこの粥をつくり豊穰を祈念した。四日「初ダイシ」には中になにも入れない粥をつくり、一四日の「中ダイシ」には粥にソバまたはウドンを入れる。長さや太さがどじょうに似ていることから「ドジョー粥」の名がつけられたようである。二四日は「シマイダイシ」「タワラダイシ」といって、米の粉の団子を入れる。ところによっては「小豆粥」にしてソバやウドンを入れる「ドジョー粥」もある。なお、お通夜の時には黒豆で白い小豆粥を作った。また、日常の生活では産後の主婦や病人も粥を食べた。