三 お宮詣り

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 産婦は数日の休養で家事に従事するが、赤子のお宮詣りがすむまでは公の外出はしないのが普通であった。赤子が誕生して男ならば三一日目、女ならば三三日目を「オビアケ」の日と呼び、赤子は晴れ着を着せられ、祖母か姑に抱かれて氏神様か最寄りの神社に参詣するお宮詣りの風習があった。簡略化されてはいるが、現在でもこのお宮詣りの儀礼は多くの家に継承され実行されている。これを機会にして赤子は氏子の一員として仲間入りを果すようになるが、お赤飯を重箱につめ南天の葉を入れて神前に供えた。榊の枝に赤飯をのせて供えることもあったが、帰途、ついてきた子供達や隣近所にこの赤飯をふるまうのが普通であり、この儀礼が済んで産忌明けとなる。産婦は日常の主婦としての生活にもどるようになる。この「オビアケ」には嫁の実家が「ノシメ」の着物を贈るのが普通で、当家では関係の深かい人々を招いて御馳走をふるまいお祝いをした。

お宮参り