親の心配の一つは赤子の病気であった。ハシカや疱瘡などの流行病から風邪にいたるまで、赤子は病気にかかりやすく、智恵熱、夜泣き、ヒキツケなどは多くの親が体験していることから俗信が生まれている。虫封じもその一つで、赤子の体調が良くないのや体が弱いのは虫気の故であるとされていたので、虫封じのまじないをしてもらう風習があった。護符を受けて赤子の健康に留意したが、市内の一部では相模湖近辺にある石老山に参詣して、額に丸くスミをつけるまじないをしてもらい虫封じをした家もあった。また、初誕生後に種痘をするが疱瘡祝いをする家もあった。
乳歯のかわる頃には、「上歯が抜けたら縁の下にほうりこめ、下の歯は屋根にほうり上げろ」といわれていたが、歯の生えかわりにも留意していた。