納棺の後、その晩にお通夜が行われる。親戚、講中、知人が夕方から集り、祭壇の前で野菜の煮つけなどを肴にして酒を飲み、死者の霊を弔うとともに遺族をなぐさめた。文字通りのお通夜で、徹夜で仏をまもり線香の煙を絶やさなかった。
福島ではお通夜の時、老人が集って念仏を唱えた。広福寺の白川宗雪師によれば、故小川伍助氏が昭和初期に書き記したお通夜の念仏は左の通りである。
めいどにたびたつそのひとは
あたまにかんむりづたぶくろ
せにはほけきょのはちのまき
てにはこんごのつえをつき
あしにはぺけつのくつをはき
あめのふるひもかぜのよも
いとわずこみちをふみしめて
ゆかずばなるまいごくらくへ
なむあみだぶつ なむあみだ
今ではこのお通夜も形式的になり、参会者も多いが、僧侶の読経がすむと酒肴の接待を受けるが半通夜が普通であり、遺体は近親者だけで見守られるようになっている。