八 年忌

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 毎年めぐってくる死者の命日に追善供追を行うが、「年忌」「回忌」と呼んでいる。一周忌、三、七、一三、一七、二三、二七、三三を年忌の法事としているが、三三年を最後の年忌として杉の生木の卒塔婆をたて供養の終りとしている。この年忌供養は各家で異っており、途中の年忌をしないで何回忌かにまとめて供養する家もあり、また、一三、一七回忌で終る家もあった。
 以上のように、明治・大正時代の仏式での葬送の習俗について、古老の方々の話を素材にして、みてきたわけであるが、現代に継承されてきている習俗も見受けられる。しかし、土葬から火葬への推移は野辺の送りを霊柩車で火葬場へと変らせたように、社会生活の変遷とともに葬送の様相もかわり、穴番やお通夜などに見られるように、人の死の弔い方にも心ある、また、仲間の一人という連帯性を意味する風習が消えつつあることも事実であろう。