B 餅つき

129 ~ 130 / 241ページ
 スーパーマーケットに行けば一年中餅を売っているし、また、正月用の餅にしても業者に搗いてもらうという時代になっているが、かつては餅はハレの日のものであって、日常生活では口にしたくても食べることができなかった。各家では年の暮の二八日か三〇日に、家族中で立臼を使っての餅つきが行われた。神棚や床の間などに供える大小の円い鏡餅や雑煮用ののし餅を搗くのだが、もち米だけの餅の他に、粟や黍を混ぜた餅も搗いた。九の日のつく日は苦餅といって二九日には餅搗きをしないというのが通例であったが、序々にこの風習もすたれ、余りこだわらなくなってきた。現代でもこの風習にしたがって、自家製の餅を搗いている家もある。