陰陽道の思想に基いたものであるが、新年を迎えるにあたって、最初にお祀りするその年の神様で、この神は一年の間万物を生成する徳性をもっていると信じられている。この神様の司る方角が年によって異るが、この神様の司る方角を明の方、恵方といって万事に吉であるとされていた。したがって、暮の二八日頃に恵方に向けて歳徳棚を飾る風習があった。家によっては毎年歳徳棚を恵方にしたがって飾ることもあり、平素の神棚に一緒にお祀りすることもあったが、注連繩を張って鏡餅を供えて、燈明や御神酒をあげるのが普通であった。
今ではこの歳徳神をお祀りする儀礼は殆んど行われていない。