正月七日を七草と呼び、この日の朝に春の七草を入れた七草粥をつくり、神様に供えて無病息災を祈願し、家族全員で食べる風習があった。春の七草はセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、スズナ、スズシロ、仏の座の七種をいうが、実際にはナズナ、大根、カブ、小松菜が普通で、小さく切ったお餅を入れていた。お粥をつくる時にナズナを少し残して水につけ、爪をひたしてから切ると邪気が払われるという風習もあった。ナズナをまな板にのせ、「七草なずな、唐土の鳥の、日本の土地へ、渡らぬさきに、七草たゝけ」などと囃を唱えながら庖丁でたたく風習もあった。
この日拝島の大日堂で鬼払いの儀式があった。大日堂に高月村の円通寺をはじめ、近在から坊さんが多勢集って、お経をあげて供養をした後、柳の葉で青鬼、赤鬼を追いまわす行事があった。鬼には寺に出入りする若い衆が紛装した。この供養の行事は今でも行われているが、坊さんが数人程で読経するだけになっている。
この日は市内の所々で塞の神をたてる日であった。道祖神である塞の神は道を行く人を災難からまもるという信仰から発生した行事で、長い竹竿に五色の幣と紙を飾りつけて、村の適当な場所をえらんで立てた。竹竿のかわりに杉の木を神木とするところもあった。