市内の農家の殆んどが養蚕業を営んでいたので、蚕の神様のおしら様信仰が広くゆきわたっていた。一三日はおしら様をお祀りする日で、午後からもち米や米の粉で団子をつくり、それを蒸してまゆ玉にみたて、樫、ツゲ、ナラ、柳の枝にさし、ひき臼の穴に立てて床の間に飾った。木の枝にはまゆ玉の他に金の玉になぞらえたみかんや三角に切った餅をさした。床の間にはおしら様の掛軸をかける家もあり、神棚には燈明をあげた。養蚕が家計に大きく影響していたので、蚕のあたりはずれに生活がかかっており、各家では盛大にお祀りをした。
なお、市内の一部ではこの若餅つきとまゆ玉の祭を十四日に行うところもあった。
床の間のまゆ玉飾り