初午(福島町原方の稲荷社)
屋敷神として稲荷神をお祀りしている家では、この日は赤飯、油揚、豆腐、目ざしなどを社前に供えてお祝いをした。分家に稲荷社を分祀している家もあるが、この日は本家の社前に集り、一同が揃ってお祀りする風習があった。また、各講中では五色の旗をつくり、稲荷神社に奉納して神酒をくみ交わした。
拝島では各宿の講中が稲荷講の母胎となっていたので、初午の日には稲荷講中の家がまわりもちで宿となり、お日待ちをするのが通例であった。豊川稲荷神社の掛軸を床の間に飾って講中全員が寄り合い、赤飯、豆腐、油揚げなどの料理で酒を飲みこの日を祝った。また、代参があって豊川稲荷神社に参詣しお札を受けてきた。
なお、この日は女性のお日待ちをする日でもあり、休養の一日であった。
郷地では村の鎮守が稲荷神社であることから、初午の日に「一村会」という会があり、村民が全部集って、村の方針などを討議する集会が古い時代から行われ現在に至っている。また、上川原では惣十稲荷大明神の例祭があり、田中では稲荷神社の盛大な祭礼がある。