彼岸の行事は平安時代初期(一〇世紀)に宮廷で始り、江戸時代(一七世紀以降)になって庶民に滲透し年中行事化するようになったもので、春分をお彼岸の中日として前後三日間をお彼岸といい、先祖の霊を供養をするために、仏事や墓参を行う行事である。「入りボタ餅に明けだんご、中の中日あずき飯」といわれているように、彼岸の始の日をイリといい、終りの日をアケといっていた。墓参には花と団子を持参するのが普通で、特に、墓参の日を定めることはなく、彼岸中にお参りをした。各家では先祖の供養のためにボタ餅や団子をつくって檀那寺や近所づきあいに配った。このお彼岸の風習は現代でも続けられ、各家庭では菩提寺を訪れ、花と線香を供えて先祖の供養をしている。