A 五月の節供

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 五月五日は男児の節供で、端午の節供、菖蒲の節句などと呼び、男児の成長を祝う日である。男児のある家では軒先きに菖蒲や蓮の花をさし、座敷には武者人形を飾った。庭前には長い竿をたて幟旗や吹き流し、鯉のぼりを掲げたが、家によっては座敷内に内幟りを飾るところもあった。長男の初節供には嫁の実家から鯉幟りなどのお祝いがおくられた。柏餅や粽を食べ、菖蒲酒を飲み、菖蒲湯に入り、この日を祝った。また、親戚や近所づきあいなどからのお祝いの返礼として、赤飯、柏餅、カサゴ(干鱈)などを贈るのが通例であった。現代では国民全体の子供を祝う日となっているが、昔の行事内容を継承し、五月晴れの空に鯉を泳がせている。