正月の恵比須講と同様に一〇月二〇日にもこの行事がある。正月ほどの盛大さはないが、一家の繁栄を願って恵比須様に供え物をして祝う。中神では一〇月は神無月で神様が出雲に行き、恵比須様が留守を守ってくれるというのでボタ餅を供える風習があった。このボタ餅を「亥の子のボタ餅」と呼んでいた。
福島では一〇月三〇日には出雲の神様が里帰りする日なので、「オカマノ団子」をつくってお土産にもたせるという風習があった。出雲の神様には三六人の子供がいるから、新しいワラのつとをつくり、その中に三六個の団子を入れて、子供達にあげた。出雲の神様は縁結びの神なので、この団子をつくるのは女児の仕事であった。これをつくらない子は嫁に行けないといわれていた。