第一節 民間信仰と講

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日吉神社の榊祭

 人々の社会生活上における一般的信仰の様相は、神道系の氏神を祀る神社や仏教系の寺院に代表される組織的、思想的性格をもった宗教が主流を占めている。しかし、社会生活は複雑多様であり、単に、表層的な意味あいの宗教への信仰にのみとどまらず、人々は長年月に亘る生活の過程の中で創造してきた、習俗化されてきた自然宗教を中核とする民間信仰にも大きな意義を認めてきた。
 この民間信仰は一般の人々の間に行われている信仰をさすが、諸宗教に付着して現世利益的性格や流行性の特質を生かして宗教と社会を結合させ、また、日常生活に密着して習俗化し、比較的多様性をもって現代にまで継承されてきている。
 市内においても民間信仰の諸様相が多く継承されてきていたが、時代の推移とともに消滅した習俗もある。本節では市内在住の古老の方々の生活体験を素材とした話や、遺された諸資料と併せて民間信仰についてまとめてみた。