現在福島の広福寺に「武〓多摩郡福島村金寳山広福寺現住単心誌之」と刻まれた宝永五(一七〇八)年に建立された庚申供養塔がある。この塔は以前には大山道(福島-砂川三番間の道)、現在の東中神駅の北三〇〇メートルの東側の通称「お寺の山」と呼ばれているところにあったのを現地点に移したのであるが、昔はきつねが出るといわれたほどの雑木林が続く淋しい場所にあった。多少おさいせんが上っていたり、万頭屋が店開きしたこともあったようだが、縁日などの行事は伝わっていない。この塔は正面に腕が六本ある青面金剛像が浮き彫りにされていて、下段に三猿も彫られている典型的な庚申供養塔で、一三人の施主名が記されており、また、左側には五人の施主名が記されている。施主が庚申講を組織していて酒食の会を開くお日待ちをしていたのであろう。
庚申塔(広福寺)