一一 百万遍

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 村に熱病や悪疫が流行した時に、疫病おくりの目的で年老いた女性達が一同に集って念仏を唱える風習があった。大きな数珠を参会者一同で持ってまわしながら「ナムアミダブツ」を唱え、数珠についている大きな珠が自分の所にまわってきた時に額にいただいて拝む風習で「セングリ」とも呼ばれていた。中神では観音堂が会場となり、熱病の流行する時と関係なく、特に、お盆や九月一七日の縁日には必ず百万遍が行われた。この日は各自が御馳走を持参するので、皆で楽しめる一日であり、女性のお日待ち的な要素もあった。その他の地域でも熱病の治癒を願って病人が出た時に行われるのが通例であったが、六、七月の時季が比較的多かったようである。

百万遍(広福寺提供)