B 福島神社(福島町)

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 『新編武蔵風土記稿』によれば、かつては「蔵王権現社」と称していたが、明治の初期に福島神社と改称した。現在でも通称「御嶽さま」「御嶽神社」と呼ばれている。創建年代は不詳であるが、福島町の三田健一氏所有の文書である『福島神社明細帳』(明治三三年)には、
  「往古詳ナラズ天文年間本村ハ小田原北条氏康ノ領トナリシ証拠存在スルヲ以テ其以前ニ創立シタルモノナリト古老ノ口碑ニ伝フ」
とあり、不明確ではあるが、その由緒の古さが口碑として伝承されていたことが窺われるのである。同社の祭神は倭建命である。現在の社殿は昭和一二年九月に再建したもので、明治一四年以前は現在の福島公民館の地に鎮座していたのを遷宮した。現社殿前にある狛犬は安永三(一七七四)年に奉納されたもので、その精巧さは高く評価されている。近世末期頃までは八月五日を例祭日として草相撲が催されていたようであるが、現在では八月中旬の日曜日が祭礼の日となっている。境内には末社として八雲神社があり、須佐之男命を祭神としているが、通称「天王様」と呼称している。

福島神社の祭礼

 なお、祭礼当日は市指定無形民俗文化財の「福島ばやし」が神楽殿で奏せられ、また、氏子の若い衆が担ぐ神輿が町内を巡行し、祭礼を一段と活気づけている。「福島ばやし」については民間芸能の章を参照されたい。