H 稲荷神社(田中町)

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 かつての田中の鎮守は大永年間(一五二一~一五二七)に修覆したと伝承されている風田社であった。この社は日月宮と称し、風の神様として尊敬されていたが、その地域一帯が拝島村の所管となったために、宝暦一〇(一七六〇)年二月に村の中央部に稲荷神を勧請し奉斉したことに始る。稲荷大明神として村人に崇敬されていたが、多摩川の洪水の被害を受けたため、明治二年に田中寺の隣地に遷宮し、稲荷神社と改称した。その後、昭和一五年には都道の予定敷地になったため、現在の場所に遷宮した。宇迦之御魂神を主祭神として、猿田毘古命、大宮毘売命、大己貴命 少那毘古命を奉斉している。境内の末社には白山神社(白山比咋命)があるが、この神社は貞享二(一六八五)年の秋に多摩川の大洪水があり、対岸の作目村の七〇戸が流失し、一一戸が大神と田中の間に替地を得て移住した。そして、白山神社の分霊を勧請して奉斉したのである。また、外に須佐之男命を祀る八雲神社がある。