「うそ鳥」の形の違い

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 この神事は江戸初期に太宰府天満宮で始められました。以来めんめんと伝承され江戸時代後期には、関西から関東地方へと伝えられたようです。
 長い伝統は天神信仰(しんこう)の広がりと深さを表すものでもありますが、特に木彫りの「うそ鳥」を個人が入手し、神棚に供えることを通して、信仰を深めるという住民参加型のイベントにその要素があるのかもしれません。
 滝宮天満宮の「うそ鳥」は直径3cm高さ11cmで、ハゼノキから作られています。特徴(とくちょう)は嘴(くちばし)を削り出し横から後ろにかけてクリクリのカールがあることです。これらの姿は地方によって異なっています。例えば大阪の道明(どうみょう)寺天満宮は、嘴(くちばし)は筆書き、横、後ろのカールはありません。東京の亀戸(かめいど)天神社のものは頭全体が黒く、足は三本の流れ画きです。これらの差は、大本(おおもと)の太宰府天満宮が時代によってデザインを変更(へんこう)し、その時々の形や色合いが地方に伝承(でんしょう)され、受け止めた地方ではその姿を守っているために違いが生じたようです。

滝宮の「うそ鳥」

 また湯島天神社のように、独自に芸術家に依頼し新種の「うそ鳥」を生み出したという所もあります。
 木彫りの鷽(うそ)は下半分は止まり木で、上部が体を表しています。形の違いは足、目、羽の三点によく表れていますのでご注目ください。木製以外に、紙、竹、土、金属など、また関連としてうそ鳥絵馬、鷽みくじ(鷽の中をくり抜いておみくじが入れられている…滝宮・大宰府・見付など)等も作られています。