踊りの概要

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 踊りには、神仏への豊作や安全・平和などに感謝を表す常例念仏と日照りの旱魃(かんばつ)の時、雨乞いをする雨乞い念仏踊りの2種類があります。
 常例念仏は、ご恩報謝の念仏とも言い、毎年8月25日に奉納します。これは、ほら貝、鉦(かね)の音(ね)につれて行列入場(入庭(いりは))をします。神前で輪を作り、修祓(しゅばつ)(お払い)等の儀式をします。その後、つぎのように踊ります。

下知の日・月・大団扇を振っての念仏踊り

 下知(げんじ)は、花笠をかぶり、錦の袴、梅鉢の定紋入りの陣羽織を着て「ナムアミドーヤ」と節をつけて唱える歌詞に合わせて踊ります。
 子踊(こおど)りは、菩薩(ぼさつ)の象徴といわれ踊らずに控えています。踊りの中心は下知ですが、神事の中心は子踊りと考えている人が多いようで、子踊りに出た子は、体が丈夫(じょうぶ)になるともいわれています。
 太鼓打(たいこぶ)ちは、6~12歳の子どもが着物に袴を付け太鼓を打ちながら踊ります。
 中鉦(なかがね)は2人、錦の袴、花笠をかぶり、鉦を鳴らしながら、共に踊ります。
 次々と順に踊り組が変わり、最後に、全員で貝、笛、鉦を打ち鳴らし、社殿を3回まわり礼拝します。これを「宮めぐり」とも「揚庭(あげは)」ともいいます。
 雨乞い念仏は、旱魃(かんばつ)の時に臨時に行われるもので、通常念仏と異なり入庭(いりは)はしなく、子踊りも出しません。踊りの様(さま)は常例念仏と同じです。違うのは、下知の持つ大団扇(おおうちわ)の模様が「日・月」から「雨・水」の文字に変わり、花笠をタカラバチに代え縁周(ふちまわ)りが「金・銀」から「水色」の紙片に変わり奉納します。踊りの庭数(回数)は、33庭おどります。この踊りの後に7日以内に雨が降った雨のことを御利生(ごりしょう)と言います。千年を越す歴史の中で、雨乞い念仏は、伝承記録によると88回踊られており、雨の降らなかったのは、僅(わず)か3回だけであったと伝えられています。最近の雨乞い念仏が奉納されたのは、昭和48年、昭和57年、平成6年で、この時も雨は降りました。

西分八幡奴組を先頭にした行列入場(入庭(いりは))


現在の踊り組の編成