田父(でんぽ)何(なに)に因(よ)りてか使君(しくん)を賀(が)す
陰霖(いんりん)六月(ろくがつ)未(いま)だ前(さき)に聞(き)かず
満衙(まんが)の僚吏(りょうり)俸多(ほうおお)しと雖(いえど)も
若(し)かず東風(とうふう)一片(いっぺん)の雲(くも)には
旱魃の翌年の889年には雨がたくさん降ってきてそれを喜んで詩を作りました。
「国内の百姓たちは、何のために国主の私に祝いの気持ちを表すのだろうか。六月いっぱい、長雨が空も暗く降り続いて、こう言うことは今までに聞いたことがないほどだからです。(去年は旱魃で苦しみました)
雨が降って田畑の収穫が増えて国府の役人全員の俸禄(ほうろく)が上がることは嬉しいことだけれども、それよりも、春風が吹いて、ひとひらの雲が湧いてきて、雨をもたらせてくれることに勝る喜びはありません。雨が降ることが一番嬉しいです。」