第二項 台地とその形成

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 千葉市における下総台地は印旛沼側と東京湾側との分水界となりながら、南東―北西(土気町から犢橋町)方向に海抜高度を減じていく。分水界の三角水準点をたどれば、最高は土気町善勝寺付近が九六・六メートル、大網街道の越智新田は六七・九メートルである。ここから分水界はほぼ三〇メートル台で北西につらなる。大宮台は三六・三メートル、小倉台は三〇・七メートル、千種町は二七・五メートルである。この分水界から印旛沼側と東京湾側へゆるやかに台地は低下している。
 この台地はいかに形成されたか。この問題は台地の地形と地層とから知ることができる。台地の地形と地層は、地質史上での第四紀洪積世といわれる時間の経過において、気候変化・海面変化・地殻変動・火山噴火などに関連しながら、台地の形成過程を物語っている。

1―3図 下総台地西部における地形面の分布

1.下総上位面,2.下総下位面,3.千葉段丘,4.主な露頭観察地点,
Ab:我孫子,Chb:千葉,Ed:江戸崎,Fj:藤代,Fn:船橋,Ich:市川,Kb:小林,Km:鎌ケ谷,Ko:木下,Ks:柏,Mb:馬橋,Mk:幕張,Mr:守谷,Mt:松戸,Nd:野田,Ng:流山,Nr:成田,Ns:習志野原,Ow:大和田,Rg:竜ケ崎,Sz:志津,Sa:栄町,Sk:佐倉,Sr:白井,Ss:酒々井,Tsd:津田沼,Us:臼井,Ych:八街,Yk:四街道。

(『地理学評論』43巻12号杉原重夫論文による)


 台地を地形面から分けると、三段になる。高度の高い面から低い面に順々に名称をつけると、下総上位面、下総下位面と千葉段丘となる。下総上位面と下総下位面は下総台地である。千葉段丘は台地にきざみこまれている谷に見られ、ところによって上下二段になる。このときは上段を千葉第一段丘、下段を千葉第二段丘という。千葉段丘の下位は「やつ田」に利用されている低地である。台地面の三段階について地形学はその成因を次のように説明する。下総上位面は海岸平野であり、下総下位面は海岸段丘であり、千葉第一段丘と千葉第二段丘は河岸段丘である。もちろんこれらの地形をつくった時代の海面は、今日の東京湾の海面よりよほど高い時代であったか、あるいははるかに低い時代であったことはいうまでもない。またこれらの地形をつくった時代はその上にふりつもっている関東ローム層によって推定できる。