本貝塚の地理的環境については、先に述べた(註4)。
本貝塚も本格的な調査は行われたことがなく、詳細にふれることはできないが、ボーリング探査などの観察によって若干の様子が知られている。それによると、径五~六メートル程度の小規模な貝層堆積が、数カ所、環状を呈して形成されている。その径はおよそ六〇~七〇メートルであると見られる(註5)。
本貝塚から採集される土器は、諸磯式とされており、そのころの貝塚は、本貝塚のように点在する貝層堆積の下部に住居址の存在することが通例とされており、集落の存在が予想されている(註6)。
このような縄文前期の点列環状貝塚が、比較的良好に残されている例は市内では他に見ることができず、非常に重要な遺跡である。