五 縄文晩期の遺跡

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 これまでに確認された縄文晩期の遺跡は、千葉市内にわずか八カ所にすぎない。これは、縄文時代全時期を通じて、もっとも隆盛をきわめた後期の直後において、あまりにも極端な減少である。たとえば、後期の遺跡と比べると、その数は一〇分の一の急減であり、貝塚においても、おそらく一〇分の一以下の凋落を示すであろう。
 それも、これらの遺跡のほとんどのものが、かつて隆盛をきわめた馬蹄形貝塚を伴う集落の一角に、ごく零細な文化層を留めているにすぎない。しかも、明らかにこの時期に築かれたと思われる貝塚や貝層は、まだ確認されていないのである。これはまさに、貝塚文化の消滅的な現象であるといわねばならない。