いかなる時代にあっても、人間の生活を考えるとき、その、もっとも基本をなすものは、「衣・食・住」の三要素であろう。なぜならば、これらが、人間の「生命の維持」、「種族の保存」に関して、直接に「かかわり」を有しているからである。
したがって「生産活動」をはじめとする、すべての「人間活動とその所産」は、この目的の達成のための、直接的、あるいは間接的な「人間活動」としてとらえることができ、その具体的活動はすべて、この「衣・食・住」の獲得に集中される。
また、逆に、すべての「人間活動」は、この「衣・食・住」の獲得から出発する、とも言うことができるであろう。
これら三要素の中でも、やはり、若干の比重のちがいというものは存在するであろう。ということを考えてゆくと、この中では、「食」生活がもっとも重要なものとしてあげることができる。
そこで、本項では、まず「食」生活を出発点として、当時の生活をふり返ってみることにしたい。