(一) 魚類
スズキ・クロダイ・マダイ・ヘダイ・コチ
(二) 鳥類
キジ科の一種(ヤマドリか)
(三) 哺乳類
イノシシ・ニホンジカ・クジラ・タヌキ・ノウサギ
魚類では、タイの類がよく捕食されていたらしいことが一般的である。この調査でも、クロダイの出土例がもっとも多い点があげられている。また、マダイは、かなり大型の個体のものであったらしく、これは、他地域からもたらされたものと推定されている。
一般に、魚類の骨は、こまかいものが多く、小型魚の骨などは貝層の中にあって、発掘の際の検出のときに非常に見逃しやすい(註6)。これは、発掘技術上の問題として、改善の検討がなされている。
ここで、あげられた魚類のほかに、主なものとして、マグロ・ブリ・カレイ・ヒラメ・アカエイ・ボラ・ハモ・イワシなどがあげられる。これらも、その水域環境・漁法の変化などによって地域的特色は自ら現れてくるであろう。
鳥類の出土が少ない。これは、骨が破砕されて(髄も食べるため)細片となっているために採集されにくいという点が考えられている。更にその捕獲に、相当に高度の技術を要したためではないかと考えられる。一般的には、キジ・カモの類が多いことが認められる(註7)。
脊椎動物の中で、食糧資源として、もっとも重要な地位を占めるものは何といっても哺乳類であろう。これらは、一個体の捕獲によって得られるものとしては、もっとも多量の食糧を得ることが可能なほか、その遺骸(毛皮・骨格・歯牙・角)をほかに利用(骨角器など)することが可能であったことがあげられる(註8)。
その中でも、もっとも中心をなすのが、シカとイノシシであることが一般的である。特に、シカは、その角が骨角器の原材料として、もっとも有用であるというような点からも、捕獲動物として重要視されていたであろう。そのほかには、大型獣としては、クマ・カモシカなどもあげられるが、これらは地域的特徴といってよく、ほとんどは、中・小型獣である。サル・キツネ・アナグマ・カワウソ・リス・テン・ムササビなどがあげられるが、遺骸の出土例は激減する。
2―62図 貝塚から出土する主な獣骨
哺乳動物の中で、特筆すべきものは、海棲の哺乳動物、特にクジラとイルカである。
イルカは、東京湾口の、館山市鉈切洞窟遺跡(縄文後期)で大量の出土例(註9)を見るほか、湾内各地の貝塚で発見されており、加曽利南貝塚ではほぼ一個体の骨格がまとまって発見されている。
クジラも、仁戸名町月之木貝塚(二―一五図)などからその出土が記録(註10)されているが、ほとんどの場合、それは脊椎骨であり、一回の発掘で一個というような出土状況を示している。
このようなことから、クジラの捕獲の際には、各集落が協力してそれに当たり、獲物を分配したというようなこともいわれているが、元気のよいクジラを捕獲することは、当時としては無理であると考えられ、シャチなどに追われて海岸へ打上げられた「寄せくじら」を手に入れたのではないかと考えられている。また、その脊椎骨が、各種の道具として使用されているというようなことから、特別に求められてきたともいわれている。