石棒

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 そのような土偶に対して、もう一つの呪術的遺物として、石棒をあげることができる。
 石棒とは、その字のように、石製の棒であるが、磨製で、一端が瘤状の「ふくらみ」をもっているものが多い。大きさは大小さまざまであるが、直径二〇センチメートルくらいのものから直径一センチメートル程度のものまで見ることができる(二―八六図)。

2―86図 石棒(縄文後期,加曽利B式,加曽利貝塚出土)

 このような、各種の大きさを有するものの中で、手にもって扱える程度のものであれば、武器としての使用が考えられるのであるが、大きいものはそれが不可能となってくる。更に、その一端にある「ふくらみ」が、あたかも男性器をかたどったような形状を呈しているものが存在する。とすると、これは、土偶の場合に相対するものとして、呪術的な遺物と考えることが妥当になってくるであろう。