2―116図 千葉市周辺における前方後円(方)墳と方墳の分布
方墳の発掘調査例はきわめて乏しく、内部主体や編年序列については不明な点が多いが、市内青葉町に所在する荒久古墳は、截石の横穴式石室をもつものとして有名である。この古墳は、昭和二十六年、市誌編纂のための調査が行われ、明治年間の発掘で掘り残したと思われる琥珀製棗玉(なつめ)や鉄製の馬具片が出土した。石室の構造上の特長としては、羨道がきわめて短いことがあげられ、寸法は唐尺を用いていることから、築造年代は奈良時代に降るものであろうと推定されている(註4)。