第一〇号遺構

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 台地中央部のやや南側平坦面に位置する。外法六・八×六・二メートル、内法五・四×四・九メートル、周溝は、幅〇・六~〇・七メートル、深さ一〇センチメートルで、隅丸方形を呈する。

2―134図 すすき山遺跡出土の特殊遺構

 遺物は、周溝内から須恵器、縄文中期の土器片などが出土した。
 以上のように、合計一〇基に及ぶ方形周溝状の遺構については、いずれも浅い周溝によって方形に区切られた、内部のテラス状部分には、墓壙状の遺構もなく、踏み固められた形跡もない。しかも、ほとんど遺物を伴わず、周溝内から発見される土器類も、きわめて細片でごく少量であり、時期を判定することが困難なものばかりである。
 その規模や形態がほとんど似通っており、その分布状態も、ほぼ等間隔に展開しており、台地の南側及び東側に遍在している。重複例もないから、時期的な差も見出せない。これらの共通性が、かえってこの遺構群の性格や実体をとらえる上に、なんらの示唆も与えて呉れないのである。
 しかし、出土した土師式土器のうち、第一号遺構より出土したのは国分式期に属するものである。これが果たして、この遺構と同時期に使われたものかどうかは断定しがたいが、いちおう、これによって、これらの遺構群の年代を奈良末から平安初頭の時期に位置づけておきたい。
 なお、この種の遺構は、最近千葉県下でも数多く発見されるようになり、やがて、その性格や実体が明らかになる日がくるであろう。それまでは、あくまでも不明なる遺構として、今後の調査・研究にまつより仕方がないのである。