目次
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第2章 原始・古代
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第三節 古墳時代
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第一項 氏族社会の成立と遺跡の分布
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4 氏族社会の集落と文化
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一 竪穴住居(二―一三九図参照)
鬼高式期
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鬼高式期に発達する各住居のカマドの位置は、多く北側の壁ぎわに据えられ、その中に棒状の土製品や高坏の廃品利用の五徳がしつらえられ、煮沸専用のこしき形土器や長胴の甕形土器が用いられ、貯蔵穴がその傍に固定されることは、炊事場兼調理場と居間・出入口の分離がこの時期に促進されたことを明確に示すものであると同時に、室内の保温にも役だったことはいうまでもない。
カマドの初期の段階は煙道部がなく、焚口から燃した煙は室内に充満したが、間もなく、煙道部を室外に突き出す工夫が試みられ、真間式期の後半からは室内の炊事場の機能の合理化をはかるために煙道部の突き出しを長くすることによって、焚口部の長さを短かくし、かつ幅を広くとるように改造された。
2―140図 間仕切りのある鬼高式期の住居址(上ノ台遺跡第8号住居址) (『千葉市上ノ台遺跡』)
2―141図 宮崎第1遺跡第35号A住居址のかまどの実測図(鬼高式期)(『京葉』)