Ⅰ 中世城郭の型式分類

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(一) 館 兵農未分離の土豪的武士の居館。平地や台地周辺の、水田耕地との比高差の少ない平坦面に立地、方形または雑形の囲郭による単郭式。
(二) 館城 平地方形館の発展型式。耕地との比高度の高い台地上に占拠。同心円的、直線的、段階的、雑形的など複雑な多郭型式。本質的には豪族の居館だが、その囲郭内に従者などを住まわせ、防禦力の増強を意図している。
(三) 戦国山城 山地の自然の要害を利用し、山頂に、方形単郭や同心円的、直線的、段階的、雑形的などの多郭を有する。「根古屋式山城」とは、山頂に城郭を構え、平時、城主及び一門は山麓に設けた館(根古屋)に居住する形態。
(四) 戦国台地・丘陵城郭 館と山城との利点を結合したもの。主に半島状の台地全域を占拠し、直線的、段階的、雑形的などの連郭または多郭を呈する。
(五) 戦国平城 平地または台地縁辺に位置し、同心円的または雑形的多郭を呈する。