1 千葉氏の抬頭

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 院政時代に抬頭し鎌倉時代に最も活躍した千葉・三浦・上総・土肥・大庭・梶原・畠山・長尾などのいわゆる坂東八平氏は、いずれも桓武天皇の曽孫高望王の子良文を祖とする。これらの武士団は惣領家を中心とした同族が、多くの荘園を経営して団結し、強大な武力と経済力をもって関東の各地に割拠したものである。
 中でも下総の千葉氏は、良文が尊崇したと伝えられる妙見菩薩を守護神とし、惣領家の世継の元服式は必ず妙見菩薩の宝前で行い、一族郎党の所領にも妙見を勧請し、延命長寿・怨敵降伏などの祈祷を行うことによって、同族意識を保持し、ながく精神的結合のよりどころとして継承した。